「応援してくれる人が一人でもいるなら投げる、必要としてくれる方がいるなら腕がちぎれてもいいから腕を振る」。これが、取材を続ける中で感じた藤川球児という人間の生き方でした。果たしてメジャーの球団は、チームの首脳陣は、彼のそんな信念を理解できているのか。私の答えは「NO」でした。おそらく、藤川投手の胸中も同じだという確信があります。
必要とされる場所
「アメリカは契約社会。投げる場所や条件は契約内容で決まっているようなものなのです。『今、お前が必要だから、ナインが、ファンが待っているから、だからマウンドに向かってくれ』というような雰囲気が感じ取れないケースが多かった。そこに何かやりがいのようなものが心の中に生まれてこなかった…」。インタビューで彼が正直に打ち明けてくれた言葉を聞いて、私自身も納得ができました。
滑りやすい公式球や日本よりも硬いマウンドとか、けがの影響とか、そんなことがメジャーでの不調の理由ではなかったのではないでしょうか。
もちろん、彼は一流のアスリートです。結果はすべて受け入れているでしょう。でも私自身は、藤川投手が最も大切にしている感情の部分でのやりがいを感じることができず、「もっと必要とされる場所があるのでは」と考えたことが影響したように思えて仕方がありません。