計画の白紙が決まった新国立競技場の建設予定地では、取り壊し工事が続いている=2015年7月17日、東京都新宿区(鴨川一也撮影)【拡大】
≪桁外れ想定工費 時間的余裕もなし≫
安倍晋三首相(60)が新国立競技場建設計画の白紙見直しを表明した。政府は総工費縮減の検討を始めたが、当初想定の1300億円も最近の競技場と比べ突出している。大半の大型施設の工期は3年を超えており、入札手続きや設計期間を考慮すると2020年の東京五輪・パラリンピックまで残された時間は少ない。
2年2カ月+3年9カ月
02年のサッカー・ワールドカップ(W杯)日韓大会で決勝戦の舞台となった日産スタジアム(横浜市)は、総合競技場として新国立競技場とよく対比される。サッカーなどを行う芝生フィールドに加え、400メートルトラックなど陸上競技用の施設を備えている。
収容人数は7万2327人と既存の競技場では国内最大の規模。総工費も603億円と最大級で、工期は1994年1月~97年10月と3年9カ月かかった。設計にも2年2カ月要している。ただ「一部の観客席の傾斜が緩やかで、競技が見にくい」との声もある。