7月19日、台北市内で開かれた国民党大会で、旗を振る洪秀柱氏(手前)。後ろに並ぶ立法委員選の候補者らを率いることができるのか、疑問視されている=2015年、台湾(田中靖人撮影)【拡大】
ささやかれる分裂危機
こうした状況に、総統選と同日に行われる立法委員(国会議員)選の候補者、特に民進党の地盤である南部の選挙区で戦う候補者の心は穏やかでない。洪氏も中南部の票の獲得を目指し、本土派と呼ばれる本省人系の重鎮、王金平立法院長(国会議長)=(74)=に選対本部長に就任するよう求めたが、王氏は立法院長職に支障が出るという理由で、拒否した。
国民党を離党して親民党を結成した宋楚瑜(そう・そゆ)主席(73)は、8月上旬にも出馬の是非を判断するという。従来は立法委員選の票のかさ上げが狙いとみられていたが、一部世論調査では、支持率が洪氏を上回るものも出てきた。報道では、国民党本土派の立法委員が離党し、宋氏を擁立するのではとの観測も出ている。現状で勝てる要素が見いだせない国民党は「分裂の危機」がささやかれるまでになっている。(台北支局 田中靖人