衆院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で自説を述べる法政大学法学部教授の山口二郎氏(左)=2015年7月13日、国会(斎藤良雄撮影)【拡大】
(1)韓国は条約上、完全な強制義務を負ってはいない。
→米韓相互防衛条約は、主に北朝鮮・太平洋地域をにらむ。韓国・南ベトナム間にも本格的同盟関係はない。さらに、豪州/ニュージーランド/フィリピン/タイなど反共産主義同盟SEATO(東南アジア条約機構)の一部加盟国は、米国の要請でベトナム戦争に参戦したが、韓国は加盟していない。
(2)参戦は韓国の自発的要請。米国は当初要請を受け入れず、後に段階的派兵を容認した。
→米国の対韓軍事・経済援助が減少、外貨不足も深刻だった。クーデターで発足した朴正煕(パク・チョンヒ)政権は、経済成長による政権の正統性確保が不可欠だった。米国は外貨補填+軍事費+韓国軍将兵の戦闘手当支給などで協力。将兵や道路・港湾建設労働者は手当・給金の大半を母国送金し、総額は巨額に達した。結果、ベトナム特需が起き、韓国財閥は発展の基を固めた。
(3)北朝鮮に備えた在韓米軍の朝鮮半島貼り付けは国運を左右した。
→在韓米軍の戦力がベトナムに転用されれば、半島の対北戦力が激減する。
(4)共産主義国家・北朝鮮による思想浸食を牽制すべく、共産主義国家・北ベトナムに対する断固たる姿勢が必要だった。
(5)朝鮮戦争(1950~53年休戦)で弱さを自覚した自国軍の強化と近代化に向け、実戦教育を積ませた。