鳥獣戯画には「動物たちが相撲をとる場面がある」と再現してみせる片桐はいりさん(左)とスズキ拓朗さん=2015年7月16日、東京都世田谷区(野村成次撮影)【拡大】
スズキは東京の展覧会を4時間並んで見たという。その魅力を「誰が何の目的で描いたのか、よく分からないから面白い。大人も子供も見て楽しい」とみる。動物たちは言葉を語らないぶん、「生き生きしている瞬間の切り取り方が絶妙」と片桐は驚く。
特別なストーリーはなく作者も不詳。スズキはそこを逆手にとり、自由な発想でファンタジーに仕立てた。「動物たちは、自分がなぜ描かれたのか分からない。親がいないマキも境遇は同じで、一緒に絵巻物の上を歩きながら自分探しをする。作者も何らかの姿で登場して絡む。童話『不思議の国のアリス』と『オズの魔法使い』をあわせた感じかな」。スズキ自らも出演、動物たちは主宰する劇団のメンバーらが演じる。
表現伸ばす「種植え」
不思議な展開には「自由で枠にはまらない子供の発想を伸ばしたい」との願いもある。その点「私は先生役にぴったり」と片桐。小学生の頃、授業で描いた突拍子もない絵に先生から全く違う批評をされて反抗、「子供は決めつけられたくないもの」と振り返る。