シェークスピアの問題劇の一つとされる「トロイラスとクレシダ」が上演される。紀元前のトロイ戦争を舞台とする群像劇で、敵と味方に分かれた男女の恋愛劇が核となる。その三角関係を演じるトロイの王子トロイラスの浦井健治(33)、神官の娘クレシダのソニン(32)、ギリシャ軍の将軍の岡本健一(46)は、さまざまな意味で「エネルギーを感じていただく舞台」と意気込む。
「トロイラス」は文学座と東京・世田谷パブリックシアター、兵庫県立芸術文化センターと2つの公共劇場が組む。出演者は総勢26人で文学座から江守徹、渡辺徹、今井朋彦らベテランから若手までの実力派が参加。そこに主演の浦井ら3人と吉田栄作が加わる。「スタッフを含め文学座の皆さんからは学ぶことばかり。化学反応が楽しみ」と浦井。翻訳は小田島雄志、演出は鵜山仁。
悲劇と喜劇が交錯
トロイ王(江守)の末子トロイラス(浦井)はクレシダ(ソニン)に恋しパンダラス(渡辺)の仲介で結ばれる。だがクレシダは捕虜交換でギリシャ側に引き渡され、敵地で将軍ダイアミディーズ(岡本)に求愛される。一方トロイ王の長男へクター(吉田)は、戦況を打破しようとギリシャに一騎打ちを申し出る。