2人の男性の間で揺れるクレシダを、ソニンは「恋に理由はない。今のように女性が強くものを言えなかった時代。若くて、好奇心を抑えられて反発するエネルギーもあったはず。内に秘めた女性の『生きる力』も備えたい」と話す。
音楽の力、舞台に
岡本は後輩の浦井、ソニンに上下関係なく接する。自身の1989年の初舞台「唐版 瀧の白糸」(蜷川幸雄演出)で学んだことだという。「稽古場に年齢やキャリアは関係ない。2人ともエネルギーのレベルが普通とは違う。何とか作品をよくしようという貪欲さがある」
誰よりも早く現場に入り、暇さえあればせりふを練習するきまじめな浦井の台本は、すでに書き込みでぼろぼろだ。直近のミュージカル「デスノート」では実年齢よりはるかに若い高校生役に挑み、地方公演の忙しさもあって数キロ痩せたという。いまは元気に稽古を重ねる浦井は、インターネットもテレビも見ないという岡本を「水面に波風が立っていないように、全てを達観してアナログに行き着いた先輩。男として見習いたい」と話す。