交渉参加12カ国の閣僚らと共同記者会見するマイケル・フロマン米通商代表(右)。左は甘利明(あまり・あきら)TPP(環太平洋経済的連携協定)担当相=2015年7月31日、米ハワイ州ラハイナ(共同)【拡大】
≪NZ、孤立いとわず妥協拒否≫
TPP交渉で「関税ゼロ」の理想を追求してきたニュージーランド。今回の閣僚会合でも乳製品の関税撤廃で譲らず、孤立もいとわなかった。農産物の「聖域」死守を掲げて2013年に後発組として参加した日本は今回、ニュージーランドに妥協を迫る役回りを演じた。
TPPの前身は保護品目が少ないニュージーランドとシンガポール、チリ、ブルネイが06年に締結した自由貿易協定(FTA)の「P4」協定だ。ニュージーランドは、世界最大の乳製品輸出国で、日米などへの輸出増につながらなければ、TPPのメリットが薄れる。
ニュージーランドのグローサー貿易相は交渉序盤から全品目の関税撤廃を要求。多くの例外を設ける日米主導の決着を懸念し「大男たち(日米)が合意をまとめてしまわないか心配だ」と不安を漏らすこともあった。
最後の難関は当初、国有企業改革に反発するマレーシアや、新薬データの保護期間延長に反対するオーストラリアとみられていただけに、土壇場のニュージーランドの抵抗は、関係国にとって予想外だったようだ。(共同/SANKEI EXPRESS)