アップルの創業者兼会長だったスティーブ・ジョブズ氏の銅像。この天才の知能と資産をもってしても、膵臓がんには勝てなかった=2015年7月17日、イラン・首都テヘラン(AP)【拡大】
早期発見が非常に困難なうえ進行も早いことから、生存率も極めて低い「膵臓(すいぞう)がん」。米アップルの創業者兼会長だったスティーブ・ジョブズ氏の命を50代半ばにして奪うなど、「羊の皮を被ったオオカミ」と恐れられている。このがんの診断に新たな可能性が出てきた。英国の研究者らが3日、学会誌に、簡単な尿検査で膵臓がんを早期発見できると発表したのだ。末期だと5年生存率がわずか3%という恐ろしい膵臓がんは、英国では毎年、9000人が診断を下され、日本でも約3万人がこのがんで亡くなっている。それだけに、この診断方法が一般化すれば、膵臓がんの生存率が飛躍的に高まると期待されている。
3種類のタンパク質検知
英BBC放送や米CBSテレビ(いずれも電子版)などによると、この画期的な検査法を発見したのは英ロンドン大学クイーン・メアリーの研究チーム。英国の慈善団体「膵臓がん研究基金」の資金援助を得て、膵臓がんの患者192人、慢性すい炎の患者92人、肝臓・胆嚢(たんのう)に疾患を持つ117人、そして健康体の87人の計488人の尿サンプルを詳細に調査した。
その結果、約1500種類のタンパク質を確認したが、膵臓がんの患者では「LYVE1」「REG1A」「TFF1」という3種類のタンパク質が健康体の人や慢性すい炎の患者より高レベルで検知された。