介護事業者が保険外のサービスに力を入れ始めた。国が公的介護保険の対象範囲を狭める中、利用者のニーズに応えられなくなり、事業も先細りになるとの懸念があるからだ。保険で認められない自宅内の片付けなどの家事サービスを充実させたり、高齢者向け施設で野菜を販売したりといった動きもある。
自費でヘルパー
東京都内の都営住宅に住む和子さん(85)=仮名=は自分では片付けられない荷物の整理のため、整理収納アドバイザーの資格を持つヘルパーを自費で頼んでいる。
利用料金は1時間当たり3600円。割安とはいえないが、近所に住む長女(57)は「介護保険では限られたことしか頼めない。物につまずいてけがでもしたら、もっとお金がかかる。安全に暮らしてもらうには必要な出費」と話す。
公的保険では、訪問介護のヘルパーの仕事内容には制約がある。家具の移動や修繕、窓ふき、家全体の掃除、草むしりなどは給付の範囲外だ。