自ら窮地を招いてしまうことを「墓穴を掘る」という。しかし、発音は同じで漢字が違う「募穴」となると全く違う意味になる。東洋医学の用語で「気が多く集まるところで、臓腑(ぞうふ)などに病変がある時に反応がみられやすい経穴(けいけつ)」のことを意味する。
これが「診断点」や「治療点」として重要なのだそうで募穴に鍼(はり)や指圧などを施せば、治療効果が大きいというのが東洋医学の教えだ。
病状が深刻な日本の農業を患者に見立てれば、今すぐ募穴を探し出して治療を施すべきだろう。そのツボは「税制」に違いない。
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が今年6月にまとめた答申の中に「耕作放棄地への課税を強化する」との1項目があった。
農業をやる意思がなく、耕作を放棄しているのに、農地として転売しない農家が多い。その理由の一つは宅地などへの転売を狙っているためで、やる気のある農家への農地集約がなかなか進まない。だから、耕作放棄地にまで適用されている農地の優遇税制をやめて課税強化しようというのが答申の中身だ。ぜひ、実行すべきである。