《8歳の少年スルリック(アンジェイ・トカチとカミル・トカチ)はワルシャワのゲットーを脱走。逃げ込んだ森で行き倒れとなっていたところをヤンチック夫人(エリザベス・デューダ)に救われる。彼女はスルリックが自分一人でたくましく生きていけるように「ポーランド人孤児、ユレク」と名乗ることを提案し、架空の身の上話を作って暗記させる。その後、スルリックはドイツ兵の追っ手をかわしながら寝床と食べ物を求めて農村を渡り歩き…》
並み居る世界の同業者たちを押しのけ小説の映画化権を勝ち取った後、ダンカート監督はすぐにフリードマンと話し合いの場を持った。まず最初に尋ねた質問は「あなたは戦時中、ドイツ人によってひどい目に遭わされた。ドイツ人の私があなたの実体験を映画化することをどう思うのか?」というものだった。
「私は自分の父とは違う世代を生きています。父の世代が引き起こしたドイツの過失をわれわれの世代が重荷として背負うべきではありません。後に、ドイツ系の誰か(ダンカート監督)が暗黒の歴史を映画化すると知ったときは喜びを感じました」。拍子抜けしてしまうほど、彼の答えにダンカート監督への敵意はみじんも感じられなかったという。