キリスト教を題材にした宗教音楽は決して難しくはない。一つの宗教を超えて普遍的な意義を持ち、そのメロディーは美しさにあふれている。だからこそ、宗教音楽は教会を出て、コンサートホールに多くの聴衆を集めるのだ。モーストリー・クラシック9月号は「マタイ受難曲と宗教音楽の魅力」を特集している。
真の原因は心の中に
「マタイ受難曲」は、バッハのもっとも有名な作品の一つ。この曲は、新約聖書「マタイによる福音書」をもとに、捕縛され、裁判にかけられ磔にされたキリストの受難を描いている。1727年4月11日、バッハがカントル(楽長)を務めていたライプチヒの聖トーマス教会で初演された。
2つのオーケストラに2つの合唱、ほかに福音史家(エヴァンゲリスト)を歌うテノール、イエス役などソリストがいる。通常は69曲からなり、上演は約3時間に及ぶ大作だ。
多くの作曲家が受難曲を書いたが、バッハ研究の礒山雅氏は「その巨大さ、徹底性、掘り下げなどの点で、バッハの受難曲は突出したものだ。私見では、受難という出来事と向かい合う真剣さが、バッハにおいて断然高い、と感じられる」と記している。