新素材に劣らぬ強度
川ならフナ、タナゴ、海ならキス、ハゼ、クロダイなど、和竿は釣る魚によって、長さや太さ、釣り糸の取り付け方法が違ってくる。
その中でも、とくに難しいのが、竿の「調子」をどう出すか。調子とは、魚がかかった時の竿の曲がり具合。調子は大きく分けて、先が曲がる「先調子」と真ん中が曲がる「胴調子」に分かれる。
先調子は魚が食いついたときに合わせやすく、あまり曲がらないので魚を取り込みやすい利点があるが、魚の感触があまり伝わってこないうえに、先だけ折れやすい弱点もある。
ゴボウ抜きに魚を釣り上げるのでは面白みもスリルもない。松本さんは「釣りは道中(釣り上げるまでの時間)を楽しむもの。小さい魚でも、クジラのような感触(手応え)を楽しめる竿がいい竿なんです」と話す。
グラスロッドやカーボンの材質が改良され、釣り具は年々、強度を増している。とは言っても、和竿もそれほど劣るわけではない。体長50センチを超えるコチや1メートルのスズキでも十分に釣り上げる強度があるという。