被綿とは、この節句の前夜に、いまだつぼみの菊の花に綿をかぶせて菊の香りを移した綿のことをいい、夜露をしみこませた菊の被綿で宮中の女官たちが邪気を払うために柔肌をなでたりもしたといいます。その習慣は枕草子や紫式部の日記にも記されていますが、邪気を払うとはいえ、何とも色っぽい様子が浮かんできますね。
重陽の節句は、秋の収穫祭と結びつきが強いため、お祝い膳にのぼるものは秋の食材が中心になります。
まずは食用菊。菊は昔から薬効や邪気を払う効果があるとされていました。「菊の節句」というくらいですから、食用菊を使った料理を食べます。菊の花のおひたしやお吸い物などが人気ですが、平安時代には菊の花を浸した「菊酒」を飲み交わし、邪気を払い、長寿を願ったとか。今ですと冷酒に食用菊の花びらを数枚浮かべる、手軽にできる演出もすてきです。