男子20キロ競歩の鈴木雄介(中央)=2015年8月23日、中国・首都北京市(共同)【拡大】
金メダルへの挑戦はあっけなくついえた。男子20キロ競歩の鈴木は股関節の痛みが限界に達した11キロ付近で自らの腕でバツ印をつくり、コースを外れた。「ふがいないし悔しい。来年が本番だし、やめた方がいいと思った」。リオデジャネイロ五輪を見据えた苦渋の決断に涙がこぼれた。
痛みが出たのは5月ごろ。その後は状態の悪化を避けるため、スピードを上げる練習では2、3キロの距離を複数回歩くなどの内容にとどめていた。これではレースで力を発揮するには限界があり「20キロを1キロ4分ペースだといけなかった」。
3月に世界記録を樹立し、一躍注目を集めた。殺到した取材依頼に丁寧に応じた一方、体をケアする時間が削られ、柔軟性を欠いたことが故障につながった。「痛みに振り回されたシーズン」と悔やんだ。
来年の五輪での金メダル獲得に向け、まずは故障の回復を最優先に出直す構えだ。日本のエースは「(故障を)治さないと自分の思ったようには歩けない。痛みが出ないような動きで体を整えていく」と再起を期した。(共同/SANKEI EXPRESS)