作家の太宰治(1909~48年)が20代のころ、芥川賞選考委員だった作家の佐藤春夫(1892~1964年)に宛てた書簡3通が見つかったことが7日、分かった。うち1通は芥川賞を切望する長い手紙で「第二回の芥川賞は、私に下さいまするやう、伏して懇願申しあげます。(略)佐藤さん、私を忘れないで下さい」と切々と訴え、受賞がかなわない不安や焦りも記している。
佐藤春夫宛て3通発見
実践女子大の河野龍也准教授が7日、東京都内で記者会見して明らかにした。書簡は、35年から翌年にかけて送られた3通。佐藤の遺族が保管する資料を整理するうちに発見したという。
河野さんは「佐藤と太宰の関係を再考するのに非常に重要な資料。駆け出しの時期の太宰の精神状況が分かり、(35年に始まった)芥川賞が、どのように権威化していくかを知る上でも貴重なものだ」と話している。
35年6月5日付の手紙は、太宰が初めて佐藤に出した手紙。太宰の才能にいち早く注目し激励した佐藤に「うつかり気をゆるめたらバンザイが口から出さうで、たまらない」と率直に喜びを記した。