9月8日、中国チベット自治区ラサのポタラ宮前広場で開かれた自治区成立50年を記念する式典で、中国国旗を振る参加者ら。式典は完全に中央政府の主導で行われ、光り輝く「新チベット」が強調された=2015年(AP)【拡大】
【国際情勢分析】
チベット自治区の成立から50年を迎え、中国政府は6日に公表した「チベット白書」の中で過去半世紀で成し遂げた経済成長を強調、「チベット史上で最も光り輝く時代を迎えている」と言い放った。だが皮肉なことに経済発展は官僚の腐敗や移住してきた漢族と地元住民との格差という新たな軋轢(あつれき)を生み出し、抑圧的な民族政策をめぐる対立に拍車をかけている。
7年で焼身自殺123人
米政府系放送局ラジオ自由アジア(RFA)によると、自治区の区都ラサで盛大な記念式典が開かれた前日の7日、近隣の四川省アバ・チベット族チャン族自治州では、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(80)の写真を掲げて「自由」を求めデモ行進した19歳の僧侶らが地元警察に連行された。8月には甘粛省で50代の女性が抑圧政策に抗議して焼身自殺。2009年以降の自治区周辺での焼身自殺者は123人に上る。
こうした抑圧政策への反発を抑え込む特効薬として中国政府が最重視するのが経済発展だ。国営新華社通信によると、国務院(政府)新聞弁公室が6日に発表した「チベットでの民族自治制度の成功実践」白書は、チベットの域内総生産が過去50年で280倍以上に増加し「社会に天地を覆すような変化が起きた」と統治の成果を誇示。習近平国家主席(62)は8月に開いたチベットの管理に関する会議では「生活水準を絶えず向上させなければならない」と強調した。