9月8日、中国チベット自治区ラサのポタラ宮前広場で開かれた自治区成立50年を記念する式典で、中国国旗を振る参加者ら。式典は完全に中央政府の主導で行われ、光り輝く「新チベット」が強調された=2015年(AP)【拡大】
しかしRFAによれば、中国の民族問題研究者、王力雄氏(62)は「経済発展と生活の改善は、決してチベット人の政府支持にはつながっていない」と分析。自治区の住民も「経済は確実に発展してきたが住民の不満はむしろ高まっている」と語っている。
利益は漢族官僚の手に
その背景には、中国社会全体が抱える病巣がある。米国在住の中国民主活動家、楊建利氏(52)はRFAに「チベット経済の発展は一般の庶民に恩恵を与えていない。内地と同様に官僚が統治する経済であり、利益はみな彼らの友人や親族が手にする」と指摘。権力を持つ公務員の腐敗がチベットでも拡大しており「習主席は官僚の道徳水準を向上させることで統治の効率を上げようとしているが、基本はこれまで失敗してきたチベット政策の継続であり、問題はより複雑になるだろう」と予言している。
「チベットは中国共産党の指導の下、立ち遅れから進歩、貧困から富裕へと向かった」(チベット白書)との“歴史観”も住民に浸透しているとは言い難い。米政府系放送ボイス・オブ・アメリカによると、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル東アジア担当のニコラ・ベクイリン氏は今回の記念式典にあたり「中国にとってチベットにおける主権を強調する重要な機会だったが、多くの住民は中国に占領されていると認識している」と言及した。