夏を惜しむように強い日差しが戻ってきた9月5日、鎌倉では『津波が来たら高いところへ逃げるプロジェクト』という防災イベントが市内各地で行われた。
2011年の東日本大震災は、海辺に住む鎌倉の人たちにも、津波に対する不安と関心を高めた。だが、時間が経過すると、不安は薄れていく。だからこそ、関心を持続させ「いま津波が起きたら、どこへ逃げるか」を自ら考える機会をつくろうと、3年前から、防災月間である9月の最初の土曜日に実施されているプロジェクトだ。
最初の年は鎌倉中心部の若宮大路沿いにある鎌倉生涯学習センターの外壁に東日本大震災で被災したビルの写真を原寸大で貼り出した。大津波に襲われるとどうなるのか。多摩美大の学生さんの発案で津波の現実を視覚的に訴えたのだ。昨年と今年は生涯学習センターだけでなく、南隣の鎌倉郵便局にも、廃虚と化した被災ビルの写真が張り出されている=写真。