安全保障関連法案を可決した参院本会議=2015年9月19日未明、国会(福島範和撮影)【拡大】
しかし、同じ家に住んでいるはずの野党は何をしていたか。家が壊れては元も子もないのだから、設計図の代案を示すなり、「土台から作り直そう」と提起するのが筋だ。しかし、民主党などは「はりが長すぎる」「見栄えが悪い」「嵐は来ていない」といった批判のための批判に終始。自分は居心地のいい部屋で寝転んだまま、汗をかく政府に文句を付けるだけだった。
安保法制には「法的安定性を損ねる」という批判もあった。しかし、むしろ法制はこれまでの構造を生かし、ギリギリの「安定性」を追求したものだ。分かりにくさや不格好さはあるが、それは突き詰めれば土台自体の不安定さに由来するのではないか。
安保法制により、日本の安全保障体制は強化された。しかし、憲法を改正し、土台から作り直さないといけない時期はいずれやってくる。
憲法改正につながるような本質的な議論が国会で行われなかったことは残念でならない。(政治部 千葉倫之/SANKEI EXPRESS)