グラフィックデザイナーやエディトリアルデザイナーにとっても、系統樹を作成してみることは魅力的な仕事だ。ぼくはヒルベルト・バイヤーや杉浦康平のダイアグラム・デザインとともに青春をおくったのだが、地下鉄路線図、人体循環系統図、さまざまな組織図、ワーグナーオペラの人脈関係図、経済指標変遷図など、何でもが系統図的ダイアグラムになっていくことに新鮮な驚きをおぼえた。
社会的な現象や人文的な系統樹をつくるときに注意したいのは、トップダウン・ボトムアップ型に整理しないように試みることだ。それではたいていの系図がピラミッド方式になって、つまらない。
華厳経にインドラ・ネットワークが出てくる。天界にいる帝釈天が衆生(しゅじょう)を救うために設けたホロニックな網目のことだが、こういうチェインツリー網こそがもっと作成されると、おもしろい。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。イシス編集学校主催「ISISフェスタ」(8月22日から9月9日まで)のゲスト講師として本文で紹介している三中信宏氏を招いた。複雑な情報を構造化し編集する「系統樹ワークショップ」は格別だった。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)