東日本大震災が発生した2011年3月11日午後には、鎌倉市内でも防災無線で津波警報が伝えられた。だが、沖でウィンドサーフィンをしている人たちには、その無線の音声が海の風に吹き消されて聞こえなかった。
一週間後に鎌倉マリンスポーツ連盟の会合があり、対応策を協議した。海上にいる人たちに知らせるにはどうしたらいいか。いろいろ試して、オレンジ色の旗が最も良く視覚に訴えることが分かった。
海のスポーツはますます盛んになっている。急を伝える手段は重要だ。鎌倉発祥のオレンジフラグは新聞やテレビでも取り上げられ、全国に波及した。
だが、時がたつと話題になることも減り最近はオレンジが避難の合図であることを知らない人もいる。合言葉が通じなければ対策は成り立たない。訓練などで折に触れて注意喚起と情報共有をはかることも重要な津波への備えだろう。(編集委員 宮田一雄/SANKEI EXPRESS)