いつの時代の技術か頭が混乱してしまうが、「ポルシェの車」は月面にも降り立ったと知って驚いた。劇作家、斎藤憐の《ポルシェ 自動車を愛しすぎた男=ブロンズ新社》によると、71年のアポロ15号計画で月面着陸して《月の石》などを持ち帰ったあの《月面車》。大気のない環境で活動する月面車設計に際し、米航空宇宙局(NASA)が着目したのが、《パリ万国博覧会/1900年》に出品されて有名になったポルシェ作の電気自動車だった。
ところで、宇宙空間が今後戦場となる可能性に備え、軍事強国は備えを怠らない。ポルシェ博士の関わるところ、常に戦塵が立ち上る。無論、博士の意図とは無縁なのだが。冒頭にも述べたが、モノづくりは時に、悲劇とともに進化するのである。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)