プロデュースは初代から関わっている沖縄音楽界の重鎮、知名定男(ちな・さだお)が担当。しっかりとした民謡の基礎を持ちながらも、ロックやレゲエなどを取り入れた新鮮なオキナワン・ポップスに仕立て上げた手腕は見事だ。
聴きやすい正統派
もう一つは、すでにベテランの域に入った大島保克の新作も紹介したい。石垣島出身の歌手兼三線弾きであるが、オリジナル楽曲も数多い。また、ジャズピアニストのジェフリー・キーザーとのデュオ作品を発表したり、UAや坂田明をゲストに迎えて共演するなど、ジャンルを超えた活動も目立つ。そんな彼が作り上げたアルバム「越路 Kuitsui~八重山二揚集~」は、オーソドックスな八重山民謡集だ。
1曲を除いてオリジナル曲は封印。三線と太鼓、そして歌声だけで、伝統の世界に真っ正面から向き合っている。あくまでも正統派の民謡集だが、どこか風通しのいい聴きやすさは、大島の持ち味といってもいいだろう。民謡入門にも最適な、トラディショナルな作品だ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)