環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐる説明会で質問する参加者の女性=2015年10月20日午後、東京都世田谷区(共同)【拡大】
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)政府対策本部は20日、大筋合意した関税交渉の全容を公表した。日本の農産品や工業品を合わせた全品目の関税撤廃率は95%となる。
農林水産物2328品目のうち約81%の関税が最終的には撤廃となり、すでに無税のものも含め協定発効で約51%の関税を即時撤廃する。政府が関税撤廃の例外を目指し「聖域」と位置付けたコメや麦など農業の重要5項目では全586品目中、約3割の174品目の関税を撤廃する。
政府が20日午後に大筋合意後初めて一般消費者も対象に含め東京都内で開いた説明会では「危機的」などと農業関係者から不安の声が相次いだ。政府は重要5項目を守ったとの立場で、11月末にも政策大綱を示し包括的な農業対策に取り組む考えだが、協定締結には国会の承認手続きが必要だ。民主党などの野党から厳しい追及を受けることが予想される。
甘利明経済再生担当相は20日午前の閣議後の記者会見で、関税交渉の結果について「(農業保護と貿易自由化の)バランスが取れた協定だ。重要5項目のコア部分はしっかり守れた」と強調した。年内に影響試算を公表できるとの見通しも示した。