【国際情勢分析】
アフガニスタン北部でイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」などの武装勢力が伸長し、旧ソ連の中央アジア諸国に浸透する懸念が強まっている。ロシアは、これに乗じて中央アジアでの軍事的存在感を高めたい考えだが、アフガンとの脆弱(ぜいじゃく)な国境をどこまで守れるかは不明だ。この地域の情勢が流動化した場合、ロシアは、空爆に乗り出しているシリアとの「2正面作戦」を余儀なくされる可能性もある。
アフガンのイスラム原理主義勢力タリバンが9月末、北部の重要都市クンドゥズを一時制圧し、中央アジア諸国には緊張が走った。クンドゥズはタジキスタンとの国境からわずか70キロに位置する。
タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領(63)は10月6日に訪露してウラジーミル・プーチン大統領(63)と会談し、「タジキスタン・アフガン国境の6割が戦闘地域になっている」などとして支援を要請。ロシアはタジキスタンの基地に約6000人の部隊を駐留させているが、別の軍用空港にもヘリ部隊を緊急配備した。