三線なくとも「らしさ」
もう一組は、沖縄出身のボーカリスト、比屋定篤子が、沖縄に住んで20年近くたつピアニストのサトウユウ子と組んだデュオだ。ポップス畑の比屋定だが、今回初めてわらべ歌や沖縄の民謡を歌う企画があり、そのパートナーにサトウを指名した。
彼女らが作り上げたアルバム「RYUKYU STANDARD」には、とにかく新鮮な印象を持った。民謡特有の節回しを一切使わずストレートに歌う声は、言葉やメロディー、楽曲そのものの美しさを浮き上がらせる。さらに、大胆だが繊細なピアノの演奏によって、沖縄音楽の固定観念を打ち壊してくれる。とはいえ、全体を通して郷愁に満ちており、どこを切り取っても沖縄の音楽になっているところは見事だ。
三線の音色が聞こえなくても、沖縄らしさを表現した画期的な民謡といっていいだろう。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)