しかし、着物需要の減少に加え、インクジェットプリンターなど技術発達により、型紙の需要は大きく減退した。しかも、着物需要が今後大きく増える要因はなく、代替技術の発展も日進月歩の状況。その上、型紙の加工賃はどんどん安くなる一方で、取り巻く環境は極めて厳しい。
「このままでは父親から受け継いだ技術が途絶えてしまう」という思いを持った西村さんは、友禅彫刻の技術を生かした新たな挑戦を始めた。
革やケースに応用
繊細な模様を彫り上げる技術を、ほかに生かせないか。そう考えた西村さんは、地紙ではなく、革に直接模様を彫り、iPad用ケースなどを作り始めた。そして、フランス人デザイナーとコラボレーションするプロジェクトにも挑戦。財布などの製品を開発し、輸出も始めた。パリの地で、友禅彫刻の技を披露したこともある。作務衣(さむえ)をまとった西村さんが、こつこつと彫刻を続ける姿に、フランス人も心を動かされた。やがて、西村さんはフランスで「Legend」と呼ばれるようになった。