ヘルシンキから小型機で1時間、私たちはフィンランド北部のクーサモという小さな街に降り立った。空港からは大型の四輪駆動車で、ウインターリゾートの地、ルカへ。運転手がときどきブレーキを踏むので、何だろうと思って窓を開けると、放牧されたトナカイの群れが目の前をのんびり横切っていく。のどかな光景だ。
フィンランドは国土が日本の9割程度で、人口は東京のほぼ半分。シラカバや松、トウヒなどの森林が国土の約6割を占め、1割が湖という自然豊かな国だ。なかでも北極圏に位置するここラップランド(スカンジナビア半島北部の地域で、大部分が北極圏内)は、いまの季節がもっとも美しい。周囲をとりまく針葉樹や家々の屋根に純白の雪が積もり、空気がしんと澄みわたる。ユニークなアクティビティーが楽しめるのも、この季節ならではだ。
滞在初日は、ウオーキングツアーに参加した。日本でいう“かんじき”のようなスノーシューズを履いて、プロのガイドとともに雪深い森の中へ分け入っていく。太陽がかろうじて頭上に居座ってくれる3時間ほどを利用した、わくわくするような冒険だ。そして翌日は、全身をゴム製の防水スーツで包み隠して極寒の川にぽかぽか浮かぶ「フローティング・リバー」を体験。自然の中で川の流れに身を委ねていると、人生観が変わってしまう。