【京都うまいものめぐり】
手土産に持っていくと「まぁ! 村上開新堂さんのお菓子を」と喜ばれる。1907(明治40)年創業の「村上開新堂」は京都最古といわれる洋菓子専門店で、作家・池波正太郎の著書「むかしの味」(新潮文庫)にも登場する名店。一つ一つ丁寧に手作りされる焼き菓子やゼリーは、昔と変わらぬ味で京都人に愛され続けている。昨今、プリンなどの新商品も発売し、新たな魅力も発信している。
池波正太郎が愛したゼリー
古書店や骨董(こっとう)品店などが並ぶ京都・寺町通りにある「村上開新堂」は、タイル貼りの外壁やカーブのかかったショーウインドー、高い天井や大理石の柱など、至る所、歴史を感じさせるたたずまいだ。
池波正太郎が愛した「好事福盧(こうずぶくろ)」(470円)は、和歌山・有田のみかんをふんだんに使った11~3月中旬の季節限定のゼリー。「酔いにかわいた口中へすべりこむときの旨さは、たとえようもなかった」(「むかしの味」から)とあるように、果実の甘さをそのままにあっさりとした味わいに仕上げているという。