大きな檜の桶にはいった「名物おぼろ湯豆腐」。沸騰しない温度で豆腐を温めるので、豆本来の甘さを損なわない。料理は全て夜の「みやび」コース(5500円)より=2016年1月26日、京都市中京区(志儀駒貴撮影)【拡大】
文化支えた豊富な地下水
「豆腐文化が発展したのは、もちろん殺生を嫌った寺文化もあるでしょうが、海からも遠い京では、タンパク質を有効に摂取するために大豆が尊ばれたことは想像に難くありません。もちろん豊富な地下水が、おいしい豆腐を作るのに適していたことも多分にあるのでしょうが」と吉田さんは分析する。
テーブル席から、ふと視線を上げたとき、ちょうど窓越しに暮れかかる京の空が見えた。うっすら雪化粧をかぶった比叡山の展望台、清水寺の三重の塔が赤く輝くさまを眺めることができた。湯豆腐ですっかり温まった体はほっこりとよい気分。夏は、鴨川から吹き寄せる爽やかな風を感じながら床で豆腐料理を堪能できる。旅する気分で京を訪れる、そんな楽しさを教えてくれる。(文:木村郁子/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS)
■豆水楼 木屋町本店 京都市中京区木屋町通り三条上ル上大阪町517の3、(電)075・251・1600。営業時間は午前11時半から午後2時、午後5時から10時、日祝は正午から午後3時半、午後5時から9時半。不定休。ランチタイムは町家膳(2200円)、昼懐石(3200円)。ディナータイムは東山(3500円)、高瀬川(4500円)、みやび(5500円)。予約がベター。祇園に支店も。
※価格はすべて税抜き