ドスを効かせた脅しにも聞こえるが、米外交誌フォーリン・ポリシー1月15日号に掲載された、ランドが関係した記事はシミュレーションが甘く、首をかしげる戦局も多々認める。ただ、今次小欄はシナリオの賛否には踏み込まぬ。記事がはじき出した結論の方が、ケタ外れに深刻だからだ。すなわち-
(1)日米同盟は中国との衝突に「巻き込まれる」危険を伴う。
(2)中国の膨大なミサイル保有量に照らし、ミサイル防衛は難しい。かといって、中国のミサイル発射基地攻撃など対日防衛義務の多くは実行が困難。
(3)中国は力を付けた海空軍+多数で強力な弾道/巡航ミサイル+先端無人機…を保有。10年前の日本なら単独で尖閣を防衛できたが、今は違う。
(4)日本を支援するために派遣される空母は、中国の対艦ミサイルに脆弱だ。
(5)「日中尖閣紛争」への米国関与は超弩級の戦略的失敗を引き寄せる。尖閣に関する最善の危機管理は無視だろう。
「米国の戦争に巻き込まれる」どころではない。「中国とコトを構えてまで日本を助けません」と、米国の著名シンクタンクの専門家が助言したのだ。