全て「変死」で処理
「振り返れば、不審点が多々あった」。捜査関係者はそう話す。転落死は2014年11月~12月の未明に発生した。通報は、いずれも警察の当直時間帯。当時、遺体や現場の状況から事件性を判断する捜査1課検視官が臨場したが、事件か事故か判断できない「変死」として処理していた。
3件とも、翌朝以降、捜査幹部らが写真確認するなどさらに精査したが、事件性を疑う判断に至らず、それぞれ別の変死となっていた。結果的に一度は殺人事件を見落とした形だが、背景には、日常的に変死の取り扱いが多数ある中で、情報を共有する態勢が不十分だった実情があるという。
3件の転落死を担当した検視官はそれぞれ別だった上、管轄の幸署は同じ施設で死亡が相次いでいることを認識していたものの、14年12月に3人目が死亡するまで、県警本部に状況を報告していなかった。
遺体は司法解剖されずに火葬され、事件性を裏付ける証拠は乏しい。目撃者はなく、廊下や居室には防犯カメラがない。施設内で人の動きを記録するシステムなども設置されておらず、転落前後の経緯は不明だ。