iPhoneの暗証番号入力画面。FBIはアップルにロック解除を要求している=2016年2月17日、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
【メディアと社会】
メディアが、社会の実相をグローバルな視点で描写し伝えなければ、市民の健全な判断力は育たない。その結果、市民が選ぶ政治家にも「不埒(ふらち)な輩(やから)」が多くなる。
不倫を認めて辞職したイクメン議員や、日本が米国の51番目の州になるには憲法上の問題はあるのかと問うたあげく、オバマ米大統領は奴隷の子孫と言い放った弁護士議員…。いずれも倫理的かつ知的に「ゲスの極み」である。
今回は、新聞やテレビ、インターネットを通じて私たちが提供されている情報の質について、主権者として「知っておくべき事実とは何か」という観点から、世界的な話題となっているスマートフォンのロック機能解除をめぐる米アップルと米連邦捜査局(FBI)の対立問題を例に考えてみたい。
昨年12月にカリフォルニア州で起きた銃乱射テロ事件の容疑者が使っていた「iPhone(アイフォーン)」の交信内容を知るためのロック機能の解除をFBIが製造元のアップルに要求。アップルは「個人情報保護を危うくする」と拒否し、FBI側が「ビジネスの利益を優先し市民の安全を考えていない」などと批判している問題である。