【メディアと社会】
テレビ業界で年末年始番組とは元旦を挟んだ前後1週間に放送する番組のことをいう。この期間の特徴は、歌番組(レコード大賞や紅白歌合戦)、スポーツ番組(ボクシングやサッカー、ラグビー)、バラエティー番組(お笑いやドッキリ)、深夜のドキュメンタリーや討論番組である。
放送法には「特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない」とある。この「特別な事業計画」というのは2011年3月11日の東日本大震災や2020年東京五輪のようなケースが当てはまり、年末年始期間は該当しない。しかし、日本人の伝統的生活習慣から、この期間はやはり「特別」だから、番組が娯楽主体になっても文句がでることはあまりない。
今回はそのことを認めた上で、元旦を挟んだ4日間の番組から、娯楽に位置づけられている番組にも極めて大きな教育・教養効果があること、その反対に教養向上を標榜(ひょうほう)した、あるいはそのように受け取られがちな番組が意外と予定調和的で、見えない規制がありそうだという点に触れておきたい。