【メディアと社会】
10日に大阪府立国際会議場で開催された「第63回日本民間放送連盟(民放連)全国大会」に来賓として招かれた。ローカル放送のあり方に関するシンポジウムを皮切りに、「言論・表現の自由の大切さを認識し、それを守り抜く」などとする大会宣言の採択、放送文化大賞の授与式とともに、講演なども行われた。今回はこの大会から見えてきた今後の日本の放送の在り方について、公益の観点から考えてみたい。
作りたい優良作品
現在の放送人たちがどういう作品を理想的だと考えているのか。その答えはテレビ部門のグランプリ授賞作、山口放送「奥底の悲しみ~戦後70年、引揚げ者の記憶~」、ラジオ部門のCROSS FM社「HAPPY HOUSE~The family’s starting point~」から明らかだ。
前者は旧満州で起きた、ソ連兵から性被害を受けた日本女性(政府記録では「特殊夫人」と記述)の掘り起こしとインタビューで構成され、戦後70年間、誰にも打ち明けられなかった心の奥底に迫っている。