だが、放送を取り巻く環境はきびしい。民放では最近、放送内容が不満でスポンサーが降りることも起きたし、NHK経営委員には時の政権に近い人が選ばれやすい。下請け制作会社への過酷な条件の押しつけによる厳しい労働環境や離職者の増加も問題になっている。
そうした困難を跳ね返すには進化する情報技術への対応力とメディアの受益者である市民の理解が欠かせない。
それはNHKも同様で、災害時の信頼度は高いのに、多様な視聴者の声に応えていないという批判も多い。
北欧諸国を中心に、欧州では新聞を筆頭にメディアへの公的助成が当たり前になりつつある。日本でもメディアの公益性に対する認識が高まれば、軽減税率適用を含む社会的援助が当然視されるだろう。しかし、放送法の目的条項に、現実をどう整合させるかという最重要課の問題についての議論がアンタッチャブルになってはいけなない。(同志社大学名誉教授 メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)