後者のラジオグランプリは、ロックファンにとって教祖的存在の鮎川誠さん(シーナ&ロケット)へのインタビュー。ロックは社会への怒りや弱者への共感を起点にしていることが多く、番組は日本ロック史において高い価値があると専門家たちも評価した。
両作品に共通しているのは媒体特性を生かし、個人的体験を歴史の中に位置づけた見事な作品であることだ。
テレビ部門の受賞作の担当者は感想を問われ、「まだ取材をして1年なのに」とで嗚咽したが、「特殊夫人」を社会化した姿勢と実行力、その制作を決断した局の心意気こそ放送人の魂でなければならないと筆者は思う。
2作品は近々、再放送されるそうだが、会社側は、こうした作品を作りにくい経営環境におかれており、経営問題への対処の優先が放送の公益性の維持を危うくしている。