北陸新幹線を見るためホームに集まった大勢の人たち=石川県金沢市のJR金沢駅(頼光和弘撮影)【拡大】
北陸の自治体関係者の視線も東京に向いている。「子供のころ、関西と首都圏の影響力は6対4だったが、今は首都圏の方が大きい」。2月上旬、富山市で開かれた「関西・北陸交流会」で石井隆一富山県知事は述べた。石川県は関東からの観光客を今年に倍増させる目標を設け、関東でのPRを強化する。関東との企業間取引も活発化させる考えで、同県の担当者は「肥沃な市場がある首都圏が重点ターゲット。関西はあまり意識していない」とつれない態度だ。
観光資源を活用
関西も手をこまねいていたわけではない。JR西日本は平成25年から北陸、関西の経済団体や自治体関係者などを招いて同交流会を開き、両地域の連携強化に取り組んできた。だが、北陸新幹線という「強敵」が出現した今、ただ連携強化を唱えてもじり貧は免れない。りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「地域間で人や物の交流がしぼむと、経済圏としての一体感がなくなってしまう。観光促進など何らかの仕掛けが必要」と話す。