軽快に走るトヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」【拡大】
乗り心地は高級セダンに引けを取らない
操縦安定性には感心した。ハンドリングはスムーズで、スピードを出しても安心感がある。ミライは発電を行うFCスタックや高圧水素タンクをミリ単位で調整して配置することで、ミッドシップのような乗り味を実現している。同時に低重心化も図っているので、とにかくクルマのバランスがいいのだ。
サスペンションは程よく硬いが、しっかりとショックを吸収するので不快な振動を感じることもない。乗り心地はレクサスやクラウンといった高級セダンに引けを取らない質の高さだ。
フロントガラスは広々としていて解放感たっぷり。サイドミラーはドアに取り付けてあり、ピラーとの間に三角窓を確保してあるため、左右の視認性は良好。リアの視界もなかなかだ。
インテリアは綺麗にまとまった印象だが、特に驚くような斬新さはない。走行速度や駆動用バッテリー残量などを示すデジタルメーターはインパネの中央に配置。左右非対称のセンターコンソールは光沢があり、スイッチ類の質感は高い。少し残念だったのは、シフトレバーを握った感触が軽くて安っぽいことと、フット式のパーキングブレーキを採用していることだ。車両価格を考えると、ここは手元のスイッチで操作できる電動式を採用して欲しかった。
FCVの珍しさから、街中で熱視線を浴びることに
居住性はどうか。ヘッドクリアランスはしっかりと確保されており、長身のパッセンジャーでも問題はなさそう。シートは張りがあり、体を程よくホールドしてくれるが、後部座席のレッグスペースは足元がやや狭い。ちなみにリアは固定式のアームレストがあるので、3人で座ることはできない。完全に定員4名のセダンなのだ。トランクルームは日常生活には困らない大きさだ。
安全装備は充実している。ドライバーがウインカーを使わずに車線を逸脱しそうなときに警告する「レーンディパーチャーアラート」。車線変更時に後方から迫る車両の存在を知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」。先行車両との車間距離を制御する「レーダークルーズコントロール」も装備している。
それにしてもFCVの珍しさからか、走行中や信号待ちの時にミライを指さす人や写真を撮る人がかなり多かった。ふとバックミラーを覗けば後続車の運転席で携帯カメラを構える人や、横に付けて車体をなめるようにチェックする人もいた。話題性があり注目を浴びているクルマなのは間違いないと、実際に確認することができた。