日本風ミニバンとは異なる価値観
国産のミニバンをディーラーやショールームで見ている時にいつも思うことがある。「これは移動する部屋なんだな」と。特に男性に顕著だと思うが、クルマを“自分の部屋”にしたがるユーザーは少なくない。そういう心理、私にもちょっとわかる。トヨタ・アルファードの上級グレードとかを見てしまうと、「家を買うんだったら、このクルマ買って自分の部屋にしちゃおうかなぁ、家買うより全然安いし…」などと考えたことも一度や二度ではない。家が狭いからなのか、自宅にはオトーサンの居場所がないからなのか、理由はいろいろあるだろうが、メーカーもそのあたりを汲み取って、部屋的、もっと言えば“秘密基地”的にミニバンの内装を作り込んでいるように感じる。そういう価値観からすると、トゥーランの作りは非常に素っ気ない。ものすごく大雑把に言ってしまうと、前後左右上下にストレッチして3列シートにしたゴルフでしかない。後部ドアはスライド式じゃないし、2列目リラックスシートも選べない。
では、トゥーランは日本では受けないのか。確かに、難しい面もあるだろう。国産ミニバンと比較すると、価格が高めなわりに内装のバリエーションで見劣りしてしまう。部屋的な要素を求めるユーザーには訴求力が弱い。しかし、運転が好きだけれど、普通のセダンやワゴンでは座席数が足りないとか、かさばる荷物を運ぶ機会が多いというユーザーであれば、そのミニバンらしからぬ走りの良さがポイントを稼ぐだろう。このクルマはとにかく自分で走らせてみないとその魅力の半分も伝わらない。繰り返しになるが、購入検討の際は是非試乗を。(文と写真:小島純一/同乗試乗:大竹信生、土方ゆり子 いずれも産経デジタル)