ロケ当日を迎え、昼過ぎに杉渕をピックアップする。
「おつかれさん。今日は来てくれてありがとう」
「お疲れ様です! これがウェイクですか。けっこうカワイイ感じですね。思っていたよりもデカイです」
杉渕が上着を脱ぎ、巨体を揺らして助手席に乗り込む。とにかく暑いようだ。それにしても、覚悟していたとはいえ彼もデカイ。運転席にまで迫ってくる威圧感がハンパないのだ。
「お前、やっぱりスゴイな! こっちまではみ出てるぞ。ちなみにアームレストは下ろせる?」
「はい、なんとか下ろせます。さすが、このクルマ広いですよ!」
「さすが…じゃねーわ! アームレストが折れそうじゃねーか!」
この日はあいにくの雨模様。杉渕が座ったとたんに窓ガラスが一気に曇り始めた。一人のときは何も問題なかったのだが…。とにかく、前方がほとんど見えない。リアウインドウも真っ白になってしまった。あわててデフロスターをONにするが、そう簡単には効かない。ウェイクの広大な車内を一瞬でホワイトアウトさせる杉渕の発熱力にビックリだ。
「ブチ、お前のせいで曇って信号が見えねーぞ」
「すみません! とりあえず車内の写真を撮っておきます!」
「今日は仕事だぞ。まじめにやれよ」
「大竹さん、オレひとつもふざけていません!」
ちなみに彼の体格に近い現役力士を調べてみたところ、女性にも人気の遠藤関とほぼ同じことが分かった。となりに力士を乗せてドライブしているようなものだ。圧迫されるわけだ。体重140キロは、660ccエンジンのおよそ2機分の重さ。そんな彼が助手席に座れば、クルマはどうしてもフロントヘビーになる。前席に“定員オーバー”の3人で座っている計算になるのだ。
ウェイクを運転していて何度も感じたのは、その車内空間を心から楽しんでいるというワクワク感だ。決して目的地へ急ぐようなクルマではないと思う。運動性能を求めるのも何か違う気がする。今、この瞬間を仲間と味わいながら、ゆったり運転するといった面白さがこのクルマの持ち味ではないか。
車内はとても広く、クルマに“詰め込まれている”といった感覚がないので、心にゆとりが生まれやすいこともワクワクする要因か。どんなクルマでも開放感は大事だ。普通のクルマとは違った“別の乗り物”に乗っているような印象も受けた。天井が圧倒的に高いだけでも、不思議と気分が盛り上がる。ファミリーだけでなく、友人との付き合いがまだまだ多い若者にもオススメしたい一台だ。