車中泊を試す
じゃあ、せめて車中泊の疑似体験だけでもやってみよう。ドデカイ男がウェイクの中で快適に過ごすことはできるのか。激しい雨が降る中、この日一番寒くて辛い撮影が始まった。
ウェイクは何通りものシートアレンジが可能。やはり車中泊といえば、フルフラットモードだ。前席と後席をすべて倒す。室内高が1455ミリもあるので開放感がある。マットレスを敷いて、寝袋にもぐりこむ。
「入れた!」
まずは、そこに驚いたようだ。普通の人とは感動するポイントが違う。
「ブチ、寝心地はどう?」
「ちょっと腰の辺りに段差がありますね。脚を真ん中よりにすると少しは楽ですが、ここで一晩寝るのは正直キビシイです」
普通体型の私も試してみる。やはり段差が気になる。写真を見てもらうと一目瞭然だが、腰の下が盛り上がっている。本気で寝るつもりなら、もっと分厚い車中泊専用マットレスを使うことを強くオススメする。
ちなみに室内幅は1345ミリ。普通体型の男性でも二人並んで寝るのは難しい。寝返りを打つのはまず無理だ。
杉渕が寝る場合は完全に一人向け。万が一に備えてテントを持ってくることも考えたが、迷った末に家に置いてきた。撮影中に「今日の車中泊はナシ」と決めた。
フルフラットにすると荷室が完全に使えなくなるが、荷物は前席と後席の下にできる隙間に詰め込むことが可能。ラゲージの下にも90リットルの大容量アンダートランクを備えているので、荷物の移動はやや面倒だが、収納に問題はない。天井の中央部にランタンなど吊り下げることのできるフックは欲しいと感じた。ちなみに杉渕が一番心地よかったのは、後席の背もたれを起こすロングソファモードだそうだ。
ウェイクを運転していて何度も感じたのは、その車内空間を心から楽しんでいるというワクワク感だ。決して目的地へ急ぐようなクルマではないと思う。運動性能を求めるのも何か違う気がする。今、この瞬間を仲間と味わいながら、ゆったり運転するといった面白さがこのクルマの持ち味ではないか。
車内はとても広く、クルマに“詰め込まれている”といった感覚がないので、心にゆとりが生まれやすいこともワクワクする要因か。どんなクルマでも開放感は大事だ。普通のクルマとは違った“別の乗り物”に乗っているような印象も受けた。天井が圧倒的に高いだけでも、不思議と気分が盛り上がる。ファミリーだけでなく、友人との付き合いがまだまだ多い若者にもオススメしたい一台だ。