一方のA-10もCASで完全無欠というわけではない。敵の戦闘機に対してはほぼ無力で、強力な味方の制空権下でしか活動できない。F-35はステルス性能をいかし、制空権が確実に得られていない状況でも支援ができるとされる。いずれも一長一短があり、結局は性能比較試験でカタをつけようとなったのだ。
事態は混沌
米CNNテレビなどによると、陸軍としては実績があり、かつCAS以外出来ない、つまり陸軍のサポートに徹してくれるA-10の残留を望んでいるが、過去には空軍からA-10の移管を打診され難色を示したこともあった。空軍としては「そんなに必要なら自分たちで運用すればよい」という主張なのだが、パイロットをどこから調達するのか、また機体を含めた部隊の運用費をどこから出すのかといった現実的な課題の前では、陸軍も答えに窮することになった。
空軍には予算削減の折、A-10を引退させて、その運用や維持にかかわる予算をF-35など他機種にまわしたいという意図がある。
こんな状況下でもA-10部隊は過激組織イスラム国(IS)に対する攻撃を続け、その有効性を実証している。性能比較試験だけで決着が付くのか、見通しは不透明のようだ。