背景には、朝鮮戦争の休戦から現在に至るまで、北朝鮮と韓国で続くプロパガンダ合戦がある。
朝鮮戦争時に国連軍総司令官だったマシュー・リッジウェイ将軍が「韓国軍の態度だけが私の悩みだった。中国軍は韓国軍部隊を次々と敗走させ、そのたび韓国軍は補充困難で高価な多数の(米国供与の)装備を放棄した」と自著で呆れるほど敵前逃亡が繰り返された韓国軍。休戦後に政府と軍を再建し、北朝鮮と対峙するうえで、勇敢に戦った英雄が必要だったのだ。それが例え「作られた英雄」であっても。こんな“架空戦記”は、韓国では珍しくない。
モスキート
米軍の「バウト・ワン作戦」もその一例だ。韓国の“定説”では、10人の英雄が登場する。朝鮮戦争勃発時、創設されてまもない韓国空軍の選り抜きのパイロット10人が、米国製の戦闘機を受け取るため日本の在日米軍基地に到着。米軍の戦闘機(F-51マスタング)に乗るや韓国に向けて飛び立ち、その足で朝鮮半島での地上攻撃に活躍した-というのだ。