パワーの解放とともに「ブウォーン」と盛り上がるエンジンの音色は、入念に作り込まれていて品のある心地よいサウンドだ。ついつい聞き惚れてしまうが、このまま踏み続ければそのうち嫌なサイレン音が聞こえてくるかもしれないので、泣く泣くアクセルペダルを戻した。時速80キロ前後でクルーズする分には、2000回転を保ちながら走行する。このときのエンジン音は「ヒーン」とやや高めだ。
抜群の安定性とピタリと張り付く接地感
高速走行中に感心したのは、GT-Rの直進安定性だ。スピードが増してもブレずに真っ直ぐ進む。挙動は非常に安定していて、細かいハンドル修正は全くいらない。風切り音も全く聞こえてこない。かなりエアロダイナミクスが優秀だと感じた。この感覚はワインディングを走行しても変わらない。ハンドリングはレクサスのスーパーカー「LFA」のように滑らかで、車体が路面に吸い付きながらカーブを気持ちよく駆け抜ける感覚は素晴らしいの一言。サスペンション性能やボディ剛性もこの上ないレベルに仕上がっている。コーナーで踏ん張りがきかずにロールが出る、なんてことは皆無だ。この接地感とコーナリング性能は高性能スポーツカー以外ではまず味わえない。
GT-Rは山坂道の走行も楽しめる。パドルシフトはハンドル固定タイプで、常に指をかけた状態で操作が可能。早めに変速すると、きびきびとしたスポーティーなドライビングを楽しむことができる。GT-Rのエンジンパワーは山坂道でもまさに規格外で、山中湖に近い明神峠の急勾配を5速でスイスイと駆け上がったのはかなり衝撃的だった。