TPP特別委めぐり国会空転 石原氏問題発言も発覚 今国会成立に暗雲

 

 国会は、12日も衆院環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)特別委員会での与野党対立で空転が続いた。自民党の西川公也委員長がTPP交渉の内幕を描いた著書をめぐり、民進、共産両党が「情報漏洩(ろうえい)だ」と反発。政府に情報開示を求める理由付けに利用し、他の委員会審議まで“人質”に取って抵抗しているのだ。TPP承認案と関連法案を会期末(6月1日)までに成立させられるか、暗雲が垂れ込めてきた。

 「全く理不尽なことだ。(国民には)国会審議のサボタージュ(怠慢)と映っているのではないか」

 公明党の山口那津男代表は12日の記者会見で、民進党などの対応を批判。自民党の佐藤勉国対委員長も記者会見で「運営において何ら瑕疵(かし)があるとは考えていない」と強調し、野党側に妥協しない構えをみせた。

 民進党は他の委員会の開催にも応じず、影響は国会審議全体に波及している。事態打開に向けて自民、民進両党の特別委筆頭理事は12日、協議したが決裂。民進党は西川氏が本の出版を計画し、官僚の協力を得たと認めることを審議再開の最低限の条件とした。

 12日の民進党TPP交渉過程解明チームの会合では、8日の特別委で石原伸晃TPP担当相が「西川本」について「絶対に認めるわけにはいかない」「これで頑張るしかない」と同席した官僚に話した音声を確認。速記が止まっておらず、会話が録音されていたのだ。西川氏も「一番古いのが出てる。書きなぐったやつが」などと自著と認める発言をしているという。

 民進党には、与野党対決型の衆院北海道5区補欠選挙を意識し、政府・与党の姿勢を批判する狙いもある。北海道ではTPPへの批判が根強く、与党には「TPP審議自体が補選にマイナスなのに」(閣僚経験者)との声もあり、安易な譲歩は選択肢にない。

 夏の参院選を控え、会期延長が難しい中、承認案と関連法案の衆院通過が春の大型連休後にずれ込めば、今国会での成立自体が危うくなる。政府・与党は承認案だけ衆院通過させるなど打開策を練る構えだ。