手足を縛られる日銀、追加緩和打てず 「1ドル=105円台」も現実味

 
1ドル=106円台をつけた東京外国為替市場の円相場を示すボード=2日午後、東京・日本橋兜町

 円高・株安の流れが止まらないが、市場では「日銀は手足を縛られつつある」とささやかれ始めた。日銀は4月27~28日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の効果を見極めるとして追加の金融緩和を見送ったが、政財界で同政策の評判は芳しくない。また、米為替報告書で日本は監視対象に指定されたため、円安を招く追加緩和は当面打ちにくいとみられている。

 追加緩和の期待が盛り上がった会合初日の27日、日本商工会議所の三村明夫会頭は記者会見でマイナス金利の効果に言及。「プラス面はほとんど見当たらない。マイナス幅の拡大は賛成できない」と牽制(けんせい)した。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は28日の記者会見で「(効果が出るまで)半年も1年もかかるものではない」と大見えを切ったが、邦銀最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長も「懸念が増大している」と公然と批判していた。

 「日銀サイドもいろいろな反省を(しなければならない)」。石原伸晃経済再生担当相は28日の記者会見で、日銀に苦言を呈した。菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「目的と狙いを丁寧に説明していく必要がある」と注文した。

 黒田総裁は「金融政策は金融機関のためではなく、日本経済全体のためにやっている」と主張するが、政府は当面、「マイナス金利幅の拡大は慎重にやるべきだ」と考えているようだ。

 マイナス金利の深掘りが封じられれば、日銀は追加緩和の手段として、国債や上場投資信託(ETF)の買い入れ拡大案などを検討するとみられる。だが、米財務省は為替報告書で、日本を監視国に指定。年初からの円高ドル安相場を「秩序的」とし、為替介入を容認しない考えを示した。

 同報告書は日銀のマイナス金利について「市場を驚かせた」と記すのみだが、大統領選を控えて、米当局が円安を招く日銀の追加緩和を牽制してくる可能性は十分ある。金融・為替政策の自由度が制限されれば、円相場の1ドル=105円台突入も視野に入ってくる。