英国とEU、混乱収束図るも思惑交錯 首脳会議は駆け引き激化へ

 
28日、英国の国民投票でEU離脱決定後、初の首脳会議が行われるブリュッセルの欧州連合本部(AP)

 【ブリュッセル=宮下日出男】欧州連合(EU)28加盟国は28日、英国が国民投票でEU離脱を決めて以降初の首脳会議を開き、英国への対応の協議に入る。英国、EUともに離脱問題の行方に一定の道筋をつけて国民投票後の混乱状態の早期収束を図りたい考えだが、双方の思惑は交錯しており、会議では駆け引きが激しくなりそうだ。

 「EUを去っても欧州や世界に背を向けるわけではない」。キャメロン英首相は27日、国民投票後初めての議会演説で強調し、英ポンドの急落など金融市場の動揺が続く中、EUとの良好な関係維持を訴えて不安払拭を図った。

 英国はEU離脱を決めたとはいえ、離脱後の将来像を描けておらず、その不透明感が混乱を招く。27日には離脱の準備組織の設置も決めたが、戦略をまとめるには時間が必要。キャメロン氏は首脳会議でその理解を取り付けたい考えだ。

 オズボーン英財務相は離脱交渉前に「欧州の隣人との新たな関係の展望」をつけるべきだとも強調。“円満離婚”に期待をつなぐ。

 ただ、英国の離脱決定の影響を受けるのはEUも同じだ。「中途半端な状態」(メルケル独首相)を引きずれば、欧州経済にも悪影響となり、各地の反EU勢力の一段の台頭を招いて英国の国民投票のような動きが飛び火しかねない。

 ドイツなど政治危機にも陥る英国に一定の猶予を与えることに理解を示す加盟国もある。だが、極右が勢力を増すフランスのオランド大統領が「EUの立場も尊重してもらいたい」と英国に早期の離脱通告を求めるなど、加盟国には温度差があり、一枚岩ではない。

 ユンケル欧州委員長は首脳会議開幕前の28日、「英国には可能な限り迅速に状況を明確にするよう要求する」と強調した。